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2018.7.15
ホームページ公開しました。

HISTORY

FILEUSE D’ARVOR (フィルーズ・ダルボー)社は、1927年にフランス北西部ブルターニュの港町「カンペール」で創業をしました。フランスとイギリスという2つの大国の狭間で翻弄された歴史を経て、フランスでありながらケルト民族の思想を強く継承する独特の文化をもつこの町は、独特のカルチャーやメンタリティーが根付き、フランスの中でも特に優秀な工・商業製品を産出する地域として知られています。
そのような環境の中、およそ一世紀にわたりFILEUSE D’ARVOR社は地元に根付いた活動を続け、頑なにMADE IN FRANCEにこだわり続けるマリンブランドです。

豊富な海産資源を持つブルターニュでは、多くの人々が海に携わる仕事に従事しており、男たちが海に出て作業をしている合間、妻達は海辺で夫の帰りを待ちながら、家畜の羊から刈り取った原毛を手で紡ぎ、その糸を用いて、夫たちが海上で快適に過ごせるよう、手編みのセーターを作るというライフスタイルが根付いていました。海に生きる男たちにとって、そのセーターはかけがえのない物でした。フィルーズ・ダルボーのブランドロゴには、創業当時と変わらず、今でもこの物語を表すワンシーンが描かれています。
工業化と分業化が進み、今ではこのような光景を目にすることはなくなってしまいましたが、フィルーズダルボーはこの古き良き文化を継承し今に伝えています。
創業から1世紀の長い時代を経て、工場の設備など刷新された部分もありますが、当時の製品を再現すべく特別にチューニングされた機械を用い、熟練の作業品たちの手により今でも全ての製品がフランス・ブルターニュで丁寧に生産されています。 

その品質は各方面で認められ、フランスのみならず、国内外のビッグブランドの製品製造を手掛ける一面も持っています。また、フランス海軍の空母、JEANNE D'ARC号にオフィシャルサプライヤーとして制服を供給していた実績を誇ります。
商品の裾に取り付けられたワッペンはJENNE D'ARCの旗章であり、オフィシャルサプライヤーとして使用を許諾されたものです。

WHY?

フィルーズ・ダルボーの製品は他の数あるマリニエールと何が違うのか?
その一番の違いは生地を編み立てる機械にあります。

一般的なフレンチボーダーは「丸編み機」と呼ばれる、その名の通り丸い筒状の生地を編み上げる機械で作られています。

ダルボー社の製品は「横編み機」、いわゆるセーターを作る機械で編み上げられています。
その名が示すように、左右に移動を繰り返しながら生地を編み上げていくその機械は、丸編み機に比べウエイトのある生地を編み上げる事ができるのが特徴です。
定番モデルであるBRESTのように大きな伸縮性を持った編地や、同じく代表的なモデルであるMATELOTに用いられるような、打ち込みの強いヘビーウエイトの生地や、「減らし目」と呼ばれる、裁断や縫製を加えずに編地の変化だけでボディを成形していく手法は横編み機独特のテクニックで、この機械でのみ再現できるものです。
90年以上の活動の中で得たノウハウを生かし、すべての編機は慎重にチューニングされ、創業当時の風合いを守るべく熟練の職人たちによって生産管理をされています。

歴史を紐解けば、手編みのセーターはやがて手で動かす機械編みに進化し、近代の工業化に伴い動力を伴った自動機械編みになり、その後丸編み機が生まれます。
この進化の工程を踏まえると、元々は手編みのセーターであった船乗りたちのボーダーシャツのDNAをより色濃く受け継いでいるのは、横編み機を用いて生産を続けるフィルーズ・ダルボーであると私たちは考えています。

MARINIÈRE

日本では横シマ(ボーダー柄)のマリンTシャツを称して「バスクシャツ」と呼ぶケースが多く見受けられます。
しかし、面白いことに本場フランスでバスクシャツという呼称を用いている人はほとんどいません。それらのマリンシャツは総じてMARINIÈRE(マリニエール)、もしくはBRETON SHIRTS (ブルトンシャツと呼ばれています。
マリニエールはフランス語のMARIN(マラン。船乗り)から派生した言葉で船乗りのユニフォームを指します。
ブルトンシャツとはブルターニュ(フランス北西部位置する地域圏)のシャツ、すなわちブルターニュの船乗りたちがこぞって着ていた横シマのシャツを指し示す言葉です。フランスにおいて、マリンボーダーはブルターニュにその起源があると考えられています。
フランス海洋産業の中心地であるブルターニュの船乗りたちが着ていたそのシャツは船乗りのアイコンであり、今ではフレンチカジュアルを語るうえで欠かせない物になりました。

フィルーズ・ダルボーはブルターニュにおける最古のマリンウエアブランドです。創業時より多くのマリニエールを送り出してきました。
横シマシャツの語源となったブルターニュ。そしてそのブルターニュ最古のマリンウエアブランドであるフィルーズ・ダルボーは、このような歴史的な観点から言ってもフレンチマリンウエアのルーツを語るうえで最重要なブランドの一つであり、源流に最も近いブランドの一つと言えるでしょう。

また、日本で用いられる「バスクシャツ」の語源は、フランスとスペインの国境にまたがるバスク地方の船乗り達が着ていた手編みニットセーターにあると言われています。船乗りの横シマシャツは元々は手編みのニットであったという一説を鑑みると、ニットの手法を用い作り出される FILEUSE D’ARVOR のマリンボーダーは、この点からもよりオリジンに近いアイテムであるといえるかも知れません。

上質なコットンをたっぷりと使用し、丁寧に編み上げられたバスクシャツは、優しい肌触りと、日々のワークに抗う耐久性が同居する、彼らの思い描く究極のバスクシャツを具現化したものです。

PRODUCTS

MARINIERE BREST

MARINIERE BREST

伸びるでもなく、縮むでもない、「動く」という概念
BRESTはフィルーズ・ダルボー社創業当初より作り続けられているダルボー社を代表するモデルの一つです。
VINTAGE RIBと呼ばれる昔ながらの風合いを現代に引き継ぐべく、現行の編み機に徹底したチューニングを加え、当時の風合いを忠実に再現しています。
その最大の特徴はニットの機械でしか表現できない伸縮性にあります。
伸縮性のある身生地は、着用時に体をやさしく包み込むように伸張し、着用後の洗濯により元の形に戻ろうとする力が働きます。着用回数がふえ、着こむ事により縦、横に伸縮を繰り返し、洗うたびに自分の体に少しづつフィットしていきながら、最終的には自分のボディを記憶するようにサイズが安定します。
この工程をフランスでは「動く」と表現します。
伸びるでもなく、縮むのとも違う、着こんでいくことで自分の体の凹凸を反映し、自分だけの一枚に育っていくその感覚は独特のものであり、BRESTの最大の特徴です。

またダルボー社の商品を特徴づけるもう一つのポイントが肩部分の縫製仕様です。
ワークウエアの観点から生み出されるダルボー社の製品は、シンプルでありながら計算されつくしたディテールを有しています。
ほぼ長方形に編み込まれた前身頃と後ろ身頃は、肩の部分を折り返し、重ね合わせて縫製されることにより、伸び止めと補強の役割をはたします。機能性から派生したディテールですが、同時に高い生産性を持つことからダルボー社特有のデザインであることが認められ、フランスでは正式にパテントを取得しており、同様の仕様は他社では真似することができません。
機能性は勿論、一目でそれとわかるその仕様は、今ではダルボー社の商品を特徴づける貴重なアイコンにもなっています。
BRESTはこのディテールが最初に用いられたオリジナルモデルです。

DOUARNENEZ

DOUARNENEZ

GRANDFATHER TO GRANDSON
かってフランス最大のイワシの水揚げ地として繁栄したドゥアルヌネ漁港の名を冠したこのモデルは、1930年代中頃、現フィルーズダルボーCEOの祖父にあたる創業者が、ドゥアルヌネの漁師から船上での作業中に着用する機能的なセーターの作成依頼を受けたことにより生み出されました。
海洋性気候のブルターニュの天候は、突然の風、強い日差し、雨...猫の目のように頻繁に、そして大きく変化します。そのため、海上の船乗りたちは、一日のうちに何度も着ていたセーターを脱ぎ着する事になります。
フランスの伝統的なフィッシャーマンセーターといえば、首回りがギュッと詰まり、ネックサイドに付いたボタンを開け閉めし着脱するもので、防寒性は高いものの、一日に何度も着脱を繰り返す状況下ではあまり機能的とは言えないものでした。
「もっと着やすいセーターが欲しい…」DOUARNENEで働く猟師の相談を受けたフィルーズ・ダルボー創業者からの回答がこのモデルです。

過酷な労働を妨げないよう、動きやすさを追求していった首周りは独特の構造とシェイプにたどり着きます。
ショルダーラインとネックが一続きのリブで編み立られ、最大限のストレッチ性を保ち、海からの冷たい風を防ぐために高めに設計されたネックにもかかわらず着脱を容易にしています。何度も着替える船乗りたちのストレスはこれにより大きく軽減された事でしょう。

肉厚に編立られたボディは海風から船乗りを守るためのものです。

祖父から孫に引き継がれたこのモデルは、その独特の構造が今では象徴的なデザインアイコンとなり今日も愛され続けています。

LAMANEUR

MATELOT

Armore de Marin・・・船乗りの鎧
MATELOTは目の詰まったしっかりとした生地を用いて作られています。VINTAGE JERSEYと呼ばれるその編地の特徴は何といってもそのウエイト。
一般的にヘビーウエイトと呼ばれるバスクシャツに比べ、2割以上多いコットンを使用し(当社比)、ダルボー社の特徴でもある横編み機を用い、しっかりと編み込まれていきます。
極限まで度目を詰め、タイトに編み込まれたその編地は、重厚でありながら横編み機独特の柔らかさを兼ね備えた「船乗りの鎧」と称される屈強なものとなります。
洗えば洗うほど編み目がしまり、ドライタッチに変化していくさまはエイジングの楽しさにも溢れています。

BRESTに比べストレッチ性が低い編地の為、身頃のサイズは比較的ゆったりとしたモデルになります。この独特の「ゆるさ」も当モデルの特徴の一つです。もちろんBREST同様、肩部分は2重に縫製されており、補強と共にダルボー社の製品であることが一目でわかるデザイン上のアクセントとなっています。

また当モデルは、横編み機から生み出されるフィルーズ・ダルボーの製品の特長を最大限に生かしたモデルの一つと言えます。
アームホールと呼ばれる袖付けには部分には、ニット独特の手法「減らし目」を用い、裁断・縫製を加えることなく袖下に三角形の「マチ」を作りだしています。同社のビンテージアーカイブから復刻されたこの仕様は、デザイン上のアイコンである事に加え、袖の可動域を増やすことにもつながる、ワークウエアとして重要なディテールです。
マチによる可動域を確保しつつも、裁断・縫製を避けることで余計な縫代がうまれる事がなく、不要なゴロつきによる不快感やストレスから解放された、フィルーズ・ダルボーならではのディテールとなっています。

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